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(2011年3月16日 掲載)

今月の推薦図書・開設

「死」を語ることがタブーでなくなってから、毎年数十冊もの「死」や葬儀関連の本が出版されている。人が死と向かい合い、人の死を考える時、何がその人を癒し、元気づけたり励ましたりするかは、かなり個人差がある。ここでは、「死」に直面している人にも、なんとなく「死」に興味を持っている人にも読んで納得して貰えそうな本を紹介したいと思う。


推薦図書 19

『小澤征爾さんと、音楽について話をする』

小澤征爾×村上春樹 新潮社

その本を見つけたのは、羽田空港の出発ロビーの小さな本屋さんだった。宮古島に向かう飛行機の待ち時間にぶらっと寄り、滞在中に読む何か適当な本はないか探していた。五木寛之の「悲しみの効用」を見つけ、重さも丁度よく?それはすぐ決めたが、平積みの本に「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を見つけて迷った。旅行には重過ぎる。でも、村上春樹好きであるし、気になった。今買わなければ、今度はないかも。出会いである。

それは寝転んで読むにも重く、宮古島では読めなかった。そして年末、忙しさも一段落し、さて読み出したら止まらない。何しろ面白いのだ。音楽もクラッシクも何も解らないのに面白い。あまりにも知ら無さ過ぎる世界に興味深々、解らないのに面白いのだ。「聴いた事のない音楽」「知らない演奏家」「演奏」について2人はざっくばらんに語っていて、それがまた面白い。

私の音楽知識は、高校までの授業だけで、ピアノは勿論、楽器を習ったのは、三味線(1ヶ月)だけで、他は声楽を数ヶ月習ったのみ。年に1,2回クラシックのコンサートに行き、DVDでオペラを観る程度。仕事以外では音楽の無い生活だ。

だから、この本については面白いという以外何も語れないのだが、村上春樹の「音楽」の翻訳?仕方が凄いのだ。演奏を言葉にする表現力、分析力、解釈、それは小澤征爾という人の中からいろんなものを出してくる。演奏した曲については、勿論、彼の青春、舞台裏、その多くは村上春樹という稀有な(ただの音楽ファンではない)聴き手がいてこそのものだ。

と、言うわけで今年は、クラシックを聴く1年が始まった。

運良く誘われて行ったウィーン・フォルクス・オーパ楽団の「ニューイヤー・コンサート」の「こうもり」等ウィンナワルツを幕開けに、ストラビンスキー「春の祭典」に目を開かれ、マーラーの「巨人」に耳を傾ける日々である。

埃を被って積まれていた我が家のコレクションに日の光が当たりつつある。

因みにこの本は1月15日の日本経済新聞でも取り上げられ、最相葉月さんが書いていましたが、音楽通の間でも評判が良いようです。

(2012年1月)


 バックナンバー

 書名をクリックして感想をお読みください。

推薦図書 18

『自宅で臨終 簡素なお別れ 海へ散骨』
大野 迪子著  新風舎発行

推薦図書 17

『処女航海』
原 健著   幻冬舎

推薦図書 16

『犠牲への手紙』
柳田邦男著 文芸春秋

推薦図書 15

『生きがいの創造』
飯田史彦著 PHP文庫

推薦図書 14

『サマー デイズ(SUMMER DAZE)』
原健著 幻冬舎

推薦図書 13

『猫のいる日々』
大佛次郎著  徳間文庫

海上の道

推薦図書 12

誰にでも訪れる親の死、その時家族は
『無名』
沢木耕太郎著  幻冬舎刊

海上の道

推薦図書 11

海岸の漂着物、風が運ぶもの
「海上の道」
柳田國男  筑摩叢書

「凍えるタナトス」

推薦図書 10

「永遠の生か死か」すでに始まっている遺体冷凍保存を巡るミステリー
「凍えるタナトス」
柄刀 一著   文芸春秋刊

「風少年」

推薦図書 9
少年というものはカッコイイものだ。

「風少年」
小檜山博著  講談社刊

「大往生の島」

推薦図書 8
幸せな長寿社会のヒントを探しに長逗留してみたい不思議な島

「大往生の島」
佐野 眞一著 文芸春秋社刊

「パタゴニア・エキスプレス」

推薦図書 7
散骨・葬儀とはかかわりは有りませんが私も行ってみたい、パタゴニアへの旅への誘い

「パタゴニア・エキスプレス」
ルイス・セプルベダ著 安藤哲行―訳 国書刊行会

「ラーゾ」 セレモニー年鑑2002〜2003

推薦図書 6
失敗しない葬祭エチケット・マナー

「ラーゾ」 セレモニー年鑑2002〜2003
悠文社発行 日之出出版発売

「生きかた上手」

推薦図書 5
90歳を過ぎた現役医師に教わる本当の処世術、人間としての在り方

「生きかた上手」
日野原重明著 ユーリーグ

「死ぬってどういうこと?」─子どもに死を語るとき─

推薦図書 4
未来を生きる子どもたちに「死」を正しく伝えたい
「死ぬってどういうこと?」─子どもに死を語るとき─
アール・A・グロルマン著 重兼裕子訳 春秋社刊
(現在、出版社にも在庫がないので図書館などで探してほしい。要望が多ければ再版の可能性も。)

「生まれ来る子への手紙」

推薦図書 3
「愛」とは「夫婦」とは「親子」とは、
   死を見つめた作者の教えてくれること

「生まれ来る子への手紙」
デヴィッド・アイアランド著 上杉明訳 春秋社刊

「ユーモアは老いと死の妙薬」(死生学のすすめ)

推薦図書 2
「老い」と「死」を明るく肯定し、生きる勇気を与えてくれるエッセイ

「ユーモアは老いと死の妙薬」(死生学のすすめ)
アルフォンス・デーケン著 講談社刊

「素晴らしい死を迎えるために」─死のガイドブック─

推薦図書 1
「死」その前と後に関しての便利帳
「素晴らしい死を迎えるために」─死のガイドブック─
加賀乙彦編著 太田出版刊 (直接出版社にて在庫のみ)